同じ場所で作業しているはずなのに、情報が共有されていない。
図面が更新されても誰かが気づかず、現場で差し戻し。
工程通りに進めたつもりでも、搬入車両が重なって足止め。
どれも特別なトラブルではありませんが、現場の動きを止める“ズレ”はこうして生まれます。
建築・建設の現場では今、「チームワーク」が生産性と安全性を左右する大きな鍵になっています。
本記事では、駐車場手配代行BPOサービス「JESUS」を運営するランドマークが、建築・建設業界の方からよくいただくお声を参考に、現場の流れをスムーズにするための実践的なヒントを、現場目線でお伝えします。
「なんとなく現場がバタつく」「原因はわからないけど連携にモヤモヤがある」――そんな方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
これまでのやり方では乗り切れない。そういった声を、よくお伺いするようになってきました。
ベテランが減り、若手が足りない。品質や安全に求められる基準は年々厳しくなり、工程は以前よりタイト。さらに、社内外の職種・関係者がリアルタイムで連携しなければ進まない“構造”が、現場に求められるようになってきました。
いま、建築・建設業界において「チームとしてどう動けるか」が、かつてなく重要になってきている理由を、3つの変化から整理していきます。
この章では、いま、建築・建設業界において「チームとしてどう動けるか」が、かつてなく重要になってきている理由を、3つの変化から整理していきます。
一つ一つ整理していきます。
「ベテランがどんどん減っていく」「若手が入っても、現場を回すまでに時間がかかる」こうした声は、いまや多くの建築・建設現場で共通しています。現場で働く人手が明らかに足りないだけでなく、技能や経験を持つベテランの高齢化が進んでおり、それを引き継ぐ人材も不足している状況です。
実際、M&Aキャピタルパートナーズの2023年9月の調査(https://www.kensetsunews.com/web-kan/910394)では、従業員の高齢化による技術承継の難しさを経営課題として挙げた建築・建設業経営者が約4割にのぼると報告されています。
これまで属人化に頼ってきた現場では、一部の経験者が抜けただけで混乱が起きるケースも少なくありません。だからこそ今は、誰がいても回る“チームとしての動き方”を設計することが求められています。
品質や安全に対する要求が年々厳しくなる一方で、発注側からは「もっと早く」「もっと効率的に」という要望が強まっています。この“両立が難しい二つの条件”に応え続けるためには、現場全体のムダをなくす動き方=チームワークの質が問われます。
確認漏れ、情報の遅れ、ちょっとしたすれ違い。それらを防ぐには、一人の頑張りに頼るのではなく、誰が動いても流れが止まらない仕組みが必要です。
「クラウド図面」「アプリでの工程管理」「チャットでの進捗報告」など、建築・建設業界にもデジタル化の流れが急速に広がっています。
一方で、「便利なはずのツールが、逆にすれ違いを生んでいる」と感じている方も多くいます。それは、人・会社・職種が違うなかで同時に動く“多職種協働”の前提ができていないまま、ツールだけが先に導入されているからです。
DXを活かすには、それを支えるチーム間の信頼関係や情報の共有体制があってこそ。つまり、技術よりも先に“チームの設計”が必要なのです。
「チームワークが大事」と言われても、現場では実際どこに気をつければいいのでしょうか。単に仲が良いことや、全員で一斉に作業をすることが“良いチームワーク”ではありません。
この章では、そんな“現場が止まらないためのチームワーク”の基本構造を、横の連携・縦の指揮・現場の行動という3つの視点から整理していきます。
上から解説していきます。
建築・建設の現場には、元請・下請・専門業者・資材業者・物流など、さまざまな立場の人たちが同時に関わります。それぞれの会社・職種に役割がある以上、情報の行き来がうまくいかないと、どこかで必ず“止まり”や“ズレ”が起きます。
大切なのは、「聞いてない」「伝わってない」を減らすために、情報を“つながった状態”にしておくことです。そのためには、連絡手段や情報の共有タイミングを揃えたり、図面や工程をクラウド上で一元化するなど、立場の違いを超えて協力しやすい“場”を整えることが欠かせません。
一方で、現場では「どうするか」の判断が遅れると、手を止める時間が増えてしまいます。たとえば工程に変更があったとき、管理側の判断が遅いと、作業員はその場で待機せざるを得ません。
現場を止めないためには、現場からの声がスムーズに上がり、現場にすぐ指示が戻ってくる“縦の流れ”が必要です。そのためには、口頭の伝達だけでなく、共有ツールや指示フォーマットの整備、決裁ラインの簡素化といった仕組みづくりがポイントになります。
また、管理側が“現場の空気”をキャッチしやすくするために、こまめな確認やフィードバックの習慣化も効果的です。
チームワークが機能している現場には、いくつかの共通する“当たり前の行動”があります。
たとえば──
1.朝の一声で、全体の動きを共有している
2.図面や工程の更新を、誰が見てもわかる場所にまとめている
3.変更があったときに、すぐ共有する文化がある
4.初めての人でも作業に入りやすい“段取り”ができている
5.困ったときにすぐ相談できる人間関係がある
これらは、どれも特別なことではありませんが、“全員で現場を止めないための行動”が、自然と共有されていることこそが、チームとしての強さにつながります。
チームとしてスムーズに動くには、「気合い」や「気づかい」だけでは足りません。実際には、日々の業務や情報の流れの中に、“足を引っ張る構造的な要因”=ボトルネックが存在しています。
この章では、現場でよく見られる3つの代表的なボトルネックを挙げ、それぞれがどうチームワークを阻害し、生産性に影響するのかを見ていきます。
それぞれ見ていきましょう。
「図面はメールに添付」「工程はExcel」「共有はLINEや口頭」――情報がバラバラの状態では、誰が最新情報を持っているのか分からなくなり、現場での認識のズレや手戻りが起こりやすくなります。
特に、複数の業者や職種が入り混じる建築・建設現場では、“情報をどこに置くか”を決めておくこと自体がチームワークの基盤になります。たとえシステム導入が難しい現場でも、まずは「誰が・何を・どこで見るか」をルールとして統一するだけでも、大きな改善につながります。
図面通りに工程を組んでも、モノや人の流れが詰まると現場はすぐ止まります。たとえば「午前に3社の車両が同時に来てしまった」「ユニック車の荷降ろし場所がふさがっていた」――そんな場面は、段取り不足だけでなく、動線設計と情報共有のミスから生まれることが少なくありません。
特に駐車・搬入スペースの不足は、慢性的な現場課題の一つです。「場所がないこと」自体ではなく、「誰がいつ、どう動くかを整理していないこと」が混乱の原因です。必要なのは、事前に把握・整理しておくための“段取り表”や、外部との連携を前提とした動線設計です。
チームワークの土台には、「伝わる」「聞ける」「相談できる」関係性があります。しかし現場では、年齢差・経験差・立場の違いがその妨げになることも珍しくありません。
「若手が質問しにくい」「ベテランの言い方がきつく聞こえる」「立場が違うと声をかけづらい」――こうした“ちょっとした遠慮”が積み重なって、必要な情報が回らない・動きが遅れるといった事態が生まれます。
こうしたギャップを埋めるには、場づくりやルールづくりの工夫が必要です。たとえば「確認はチャットでOK」「工程変更は朝礼で口頭&紙で伝える」といった形式を揃えるだけでも、個人の性格や関係性に左右されにくくなります。
「図面は最新? チャットは誰が確認した? 駐車スペースは本当に空いてる?」そんな確認のやり取りに、毎回不安やバタつきがあるなら、それは“仕組み”で防げるかもしれません。
この章では、特別なシステム導入や大きなコストをかけずに、今日から試せるチーム連携の改善アイデアを3つご紹介します。
一つ一つご紹介していきます。
「何を目指して動くのか」「自分は今日は何を担うのか」。こうしたビジョンや役割の共有があいまいだと、個々が頑張っていても、現場全体がちぐはぐになりがちです。
そこでおすすめなのが、朝礼で「1枚シート」を使うこと。工程のポイントや注意事項、各自の作業位置などを一枚にまとめ、それを見ながら朝礼を行うだけでも、全員の視点を揃える効果があります。簡単なフォーマットで構いません。
例)
区分 | 内容記入例 |
■現場名 | ○○ビル新築工事 |
■日付 | 2025年6月9日(月) |
■天候 | 曇り・最高28℃/最低20℃ |
■工程進捗 | 基礎工事完了/本日より鉄骨建方1日目 |
■作業チーム | 鉄骨工(A社)/鳶工(B社)/搬入補助(C社) |
■各社の主な作業内容 | A社:鉄骨建方1〜3スパン/B社:足場調整/C社:資材搬入補助 |
■注意事項 | ・吊荷下立入禁止エリアの明示徹底・本日10:00に搬入2件(ユニック車)あり、駐車整理要 |
■連絡事項 | ・午後に工程打合せあり(15:30〜仮設事務所)・熱中症注意(休憩促進+水分指示) |
■本日の担当者 | 現場監督:○○/安全担当:△△ |
また、チーム内での共通言語ができてくると、現場での連携もぐっとスムーズになります。
クラウドツールの導入は難しくても、「写真+チャット」の組み合わせなら、どの現場でも始めやすい方法です。たとえば、「この図面、差し替えたので確認して」「この場所、養生済です」など、状況を写真で伝えるだけで、共有の正確さが格段に上がります。
ポイントは、“文章だけに頼らないこと”。写真があることで、現場を離れている人にも伝わりやすくなり、確認や判断がスピードアップします。
「この作業、いつ誰がやる?」「ここって誰の担当?」といった疑問は、段取りの可視化でかなり減らせます。おすすめは、作業の流れや必要な準備を一覧にした“段取り表”をテンプレ化することです。
例)
作業日 | 時間帯 | 作業内容 | 担当会社 | 作業人数 | 必要資材/機材 | 搬入車両 | 駐車場所 | 注意点/備考 |
6/10 | 午前 | 型枠解体 | A建設 | 3名 | バール類 | なし | ー | 足元注意 |
6/10 | 午前 | 資材搬入 | B運輸 | 2名 | 鉄筋1.2t | ユニック | 西側1台分 | 搬入順調整あり(9:30) |
6/10 | 午後 | 配筋工事 | C鉄筋 | 4名 | 鉄筋セット | なし | ー | 熱中症対策、休憩多め |
テンプレを使えば、現場ごとの調整も早く、属人化も防げます。さらに、実際に書き出してみると、「これ、そもそも必要?」「この確認、もっと早くできるのでは?」といった“ムダ”の見直しにもつながります。
そして見えてくるのが、本来自分たちが必ず実施すべき業務と、そうでない業務の線引きです。必ずしも現場内で完結させる必要のない業務については、外部サービスの活用も十分に選択肢となります。
段取り表を実際に書き出してみると、すべてを自分たちで抱えるのではなく、外部の力をうまく借りた方が効率的な場面があることに気づきます。
この章では、建築・建設現場において「外部サービスをどう味方につけるか」について、3つの視点でご紹介します。
一つ一つご紹介していきます。
駐車場手配、資材搬入の段取り、各社とのスケジュール調整など、これらは現場を止めないために欠かせない業務ですが、施工とは直接関係のない「周辺業務」でもあります。こうした業務に時間や人手を取られてしまうと、肝心の工程管理や品質確認、安全対応などの“本業”に集中できなくなるリスクもあります。
だからこそ、外部に任せられる業務は思い切って任せる。これが、現場全体の動きを止めないための一つの手段です。
業務の一部を外部に任せるといっても、何をどこまでお願いできるのか、具体的にイメージしにくい方もいるかもしれません。ここでは、現場でよく活用されている外部・BPOサービスの例をいくつかご紹介します。
せっかく外部サービスを使うなら、「頼んでよかった」と思えるパートナーに出会いたいものです。以下の3つを事前にチェックしておくことで、後悔しない外部委託につながります。
1.専門性が高いか
→建築・建設現場特有の事情を理解し、イレギュラー対応にも慣れているかどうか。
2.実績と信頼性があるか
→過去の導入事例や顧客の声が何件あるのか。
3.現場とのコミュニケーションがスムーズか
→単なる“作業の受け渡し”ではなく、現場の意図や背景をくみ取ったやり取りができるか。
これらのポイントを踏まえてサービスを選定することで、現場の業務効率化と生産性向上を実現できます。
「チームワークで回っているように見えて、実は場当たり対応ばかり」。そんな悩みを抱えていたある中堅ゼネコンは“属人化の排除”と“外部との連携強化”を徹底することで、現場の生産性を30%向上させました。
改善のカギとなったのは、「毎日の情報共有」と「周辺業務の切り出し」です。以下、具体的な取り組みを紹介します。
■チームワークの仕組み化
■外部サービスの活用で「本業に集中」
上記の可視化を進める中で、「自分たちがやらなくてもよい業務」が見えてきました。そこでこのゼネコンでは、“外注できることは外に出す”という方針を徹底しました。
結果として、現場チームは本来注力すべき工程管理・品質管理に集中できるようになり、全体の生産性が約30%向上しました。現在では、この仕組みを標準化し、他の支店・現場でも順次導入が進められています。
建築・建設業界では、経験豊富なリーダーの減少や若手不足が深刻化し、現場のチームワークに関する課題が増えています。
属人化に頼らない情報共有の仕組み、段取りの見える化、そして現場以外の業務を外部に任せる判断。こうした取り組みが、個人任せではない“チームとしての生産性”を高める鍵になっています。
大きなシステム投資や複雑な仕組みは必要ありません。朝礼での1枚シートや段取り表のテンプレ化、外注の見直しといった「今日からできること」から始めてみませんか?
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チームワークは、感覚ではなく、仕組みでつくることができる。それが、これからの現場づくりの鍵です。
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